立ったり歩いたりするとき、私たちは特に意識することなく身体のバランスをとっています。ところが、ふとした瞬間にいつもと違う感覚が生じると、外出や仕事、家事など普段の生活に大きな不安を抱えることになります。
「しばらくすれば治るだろう」と我慢してしまう方も多いですが、めまいの背後には簡単な治療で劇的に良くなるものから、一刻も早い対応が必要なものまで、様々な原因が隠れています。むさしメディカルクリニックでは、最新の医学的根拠(EBM)に基づき、診断と治療を行います。
「どんなめまいか」よりも「いつ、何をしたときに起きるか」が重要です
これまで、めまいは「グルグル回る」「フワフワする」といった感覚の違いで分類されてきました。しかし最新の診療では、患者さんご自身の言葉で正確に感覚を伝えるのは難しいため、それよりも「どれくらいの時間続いているか(タイミング)」と「どんな動作が引き金になったか(誘発要因)」を確認することが、原因究明の最大の近道であることがわかっています。
診察では、以下の4つのパターンのどれに当てはまるかを丁寧に探っていきます。
1. 特定の動作が引き金になる、数十秒の短いめまい
めまいの原因として最も多いのが、耳の奥(内耳)にある耳石がずれることで起こる良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。寝返りや起き上がりなど、頭を動かしたときに数十秒だけグルグルと目が回ります。お薬よりも、頭を特定の方向に動かして耳石を元に戻す治療(理学療法)が非常に有効です。
2. 何もしていないのに突然始まり、数時間続くめまい
耳鳴りや耳の詰まり感、聞こえにくさを伴いながら発作を繰り返す場合はメニエール病が疑われます。また、頭痛や光のまぶしさを伴う場合は前庭性片頭痛の可能性があります。
3. 何もしていないのに突然始まり、数日〜数週間ずっと続くめまい
急激に強いめまいと吐き気が始まり、じっとしていても症状が続く場合は、耳の神経が炎症を起こす前庭神経炎などの疑いがあります。
ここが重要:脳梗塞など「危険なめまい」の見極め
急に続くめまいの中には、小脳や脳幹の脳梗塞など、命に関わる疾患が隠れていることがあります。実は、発症直後の脳梗塞はMRI検査でも異常が写らないこと(偽陰性)が最大50%あると報告されています。 そのため当院では、やみくもに画像検査を行うのではなく、まずは医師の目と手を使った特別な診察を丁寧に行い、本当に脳の異常が疑われる方にのみMRIによる画像検査をご案内します。
【すぐに救急受診が必要な危険なサイン】
めまいやふらつきに加えて、以下の症状が一つでも出た場合は、脳の異常のサインです。
- 物が二重に見える
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
- 手足がしびれる、力が入らない
- ひとりで全く歩けない、立てないほどのふらつき
めまいのお薬との正しい付き合い方
めまいや吐き気を抑えるお薬はつらい症状を和らげてくれますが、実は「漫然と長く飲み続けること」は回復を遅らせたり、ふらつきを悪化させたりするため推奨されていません。急性期の強い症状を抑えるお薬の使用は「最大3日間程度」に留め、その後は適切なリハビリテーションや生活指導へ移行するのが世界的な標準治療です。
めまいが続くときは一人で悩まず、「いつから」「どんなときに」起こるのかを振り返りながら、ぜひお気軽に当院へご相談ください。

